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「SP500」「オルカン」に怒涛の資金流入 巨大テック偏重で不安定さ増す個人資産
2025.12.27
2025年は株高の1年だった。年初から「もうそろそろいい水準」といわれつつ、日本、米国の株価はともにトランプ関税ショックも乗り越えて3年連続の上昇相場。こんな強い相場が継続するときは、株価指数に連動する投資信託を保有して上昇相場に乗っかるのが有力な投資法となる。25年も「S&P500」や「オルカン」と呼ばれるインデックス型投信は大人気で、多くの人々がインデックス投資を通じて株高の恩恵を享受した。その一方で、投信保有者の資産は地域別にみると米国に、銘柄別では「マグニフィセント7」をはじめとする巨大テック企業に一段と偏って、個人の投信ポートフォリオは不安定さを増している。
新規資金の4割強が2指数の連動ファンドへ
QUICK資産運用研究所の石井輝尚氏の調べによると、25年の投信市場への新規資金流入額は12月第3週までで13.8兆円に達し、このうち米国株の主要指数であるS&P500と、全世界の株式を対象としたMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(通称オルカン)に連動するファンドへの流入額が合わせて約6兆円だった。投信を購入した資金の4割強がS&P500かオルカンに向かった計算で、個人マネーはすさまじい勢いで2つの指数の関連商品へと流れ込んだ。
3年連続の上げ相場となった25年も2つの指数の年間上昇率は20%近く、少額投資非課税制度(NISA)や確定拠出年金(DC)を使って連動ファンドを積み立ててきた人々は、着実に資産を増やすことができたはずだ。利益の積み上がりをみて、自信をもって投資額を増やしたという投資家も多そうで、資金流入に拍車がかかっている。
純資産額は「日経平均」+「TOPIX」の3倍
ちなみに、国内の公募投信の純資産残高に占める2つの指数に連動する投信の割合を計算してみたところ、合わせて16%弱だった。この数字だけでは実感がわかないかもしれないが、日経平均株価とTOPIXに連動するファンドを合計しても比率は5%に過ぎない。日本の個人投資家のポートフォリオにおいて、S&P500とオルカンの存在感がいかに大きいかがわかるだろう。両指数の値動きが個人の資産に与える影響は甚大だ。
心配な面もある。S&P500とオルカン連動ファンドへの資金集中によって、個人投資家の資産の偏りが一段と進みつつある点だ。両指数の組み入れ銘柄を国別にみると、S&P500がすべて米国企業なのは当然として、全世界に投資しているオルカンでも時価総額ベースで組み入れ資産の65%が米国企業となっている。米国株式市場の時価総額の大きさを反映した結果だ。
先行きは米巨大テックの株価次第
そして米国企業の中身をみると、これも時価総額の規模を映して巨大なテック企業が大きな比重を占めている。指数全体の時価総額に対するマグニフィセント7の割合はS&P500で3割、オルカンでも2割以上になる。つまるところ、両指数の先行きはマグニフィセント7に象徴される米国の巨大テック企業の株価がカギを握っている。
その米国の巨大テックの今後の株価について、市場ではバリュエーション(株価の評価尺度)やビジネスの競争条件などから強弱感が対立している。テック株相場がいったん調整局面を迎えると、これまでの急ピッチな上昇に対する反動は大きくなる恐れがある。
もちろん、S&P500やオルカンの投資家でも、今後20年、30年と積立投資を継続していくつもりなら、調整があろうがなかろうがあまり気にする必要はない。仮に暴落があっても10年もあれば株価は元の水準を回復しているだろうし、安い局面で積み立てを続ければ投信の平均購入単価が下がり、指数が元に戻るよりずっと前に投資損益は黒字化するはずだ。
損失受け入れられないなら分散を
一方、運用期間が10年に満たない人や、資産の取り崩し時期が近付きつつあるシニア層、損失許容度が低い人などは、資産の分散などで守りを固めた方がいい。大きな調整局面が本当にやってくるかどうかは神のみぞ知る。だが、一時的でも大きな損失を受け入れられないなら、暴落時のダメージを減らすための備えも運用の一部だと割り切ってほしい。
では、どんな資産が米国株の分散対象になるのか。価格はずいぶん高騰してしまったが、金(ゴールド)の分散効果は依然として捨てがたいし、久々に投資対象としての魅力が頭をもたげてきた国内債券も今後は候補になるだろう。
一方で、ここ数年、分散投資の対象として一部の金融機関が推してきたプライベート・エクイティやプライベート・デットといったオルタナティブ(代替資産)は、どこにどんなリスクがあるか判然とせず、個人にはハードルが高い。2026年以降は「伝統4資産(国内外の株式・債券)プラス金」の組み合わせによる、オーソドックスでわかりやすい分散投資が再評価されるような気がしている。


