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「心穏やかに続ける資産運用」のススメ オルカン一本足からの脱却を

2026.7.23

理想的な資産運用のあり方とはどんな形だろう。とにかくリターンが一番という人なら、相場がいっとき乱気流に巻き込まれても、最終的に大きな利益を手にすれば大満足かもしれない。だが、大半の人は途中経過であっても大きな含み損は抱えたくないし、急落相場で資産がみるみる目減りしていくのを見るのは辛いに違いない。

どんなときにも心穏やかに市場を見守ることができて、それなりのリターンもしっかり確保できる――。個人的には、そんな運用が理想形だ。AI・半導体株ブームが急速に萎みつつある今は、「穏やかな心」と「それなりのリターン」の両立をめざす運用を考えるタイミングだ。

ブームに変調、これまで以上にハラハラする相場

株式市場でAI・半導体株ブームが変調をきたしている。そして、個人投資家の多くが保有する世界株や米国株の株価指数に連動する投資信託も、運用成績はここ数年続いた快進撃が止まる可能性がある。

なぜなら、MSCI―ACWI(全世界株)やS&P500の連動投信は、AI・半導体株を中心とする「巨大テック企業への集中投資ファンド」という一面を持つからだ。

MSCI―ACWIやS&P500といった時価総額加重平均型の指数は、時価総額が大きく膨らむ銘柄の組み入れ比率が連動して上がるので、市場の人気銘柄への集中度がどんどん高まるという性格がある。

指数の動きはそれだけAI・半導体株の影響を強く受けるため、今後、指数のボラティリティー(変動率)も一段と大きくなると思われる。ブームはまだ崩れていないのかもしれないが、これまで以上に相場の動きにハラハラする場面が増えそうだ。

心の支えとなるファンド・資産とは

自分の性格や損失許容度を考えて、ここから相場が大きく下げたら精神的にかなりのダメージを受けると想像できるなら、少しだけでも守りを固め、できるだけ心穏やかでいられる運用法に切り替えることを勧めたい。

現役世代の投資家が、外国株指数に連動するインデックス型投信を1本だけ保有しているという設定で、運用の見直し法を考えてみよう。

ケース1 <リターン重視だが少し心を落ち着かせたい> 保有している投信を2~3割売却し、その資金でインデックス型とは毛色が異なる投信を購入してみるのはどうだろう。資産分散ならぬ、同一資産内でのファンドの分散だ。

分散候補の筆頭はバリュー株(割安株)ファンド。今のような金利の上昇局面でのパフォーマンスは、テック企業のようなグロース株を上回る傾向がある。AI・半導体株がもう一段安となったときにバリュー株ファンドは抵抗力を発揮する可能性があり、一服の精神安定剤としての役割を期待したい。

ケース2 <リターンを少し犠牲にしても守りを固めたい> その場合は資産の分散だ。やはり保有投信を2~3割売って、その資金で資産を一部入れ替える。株式が運用の核であることは変わらないので、分散対象は株式とは異なる値動きをする資産が望ましい。

となると、候補は金(ゴールド)と債券だ。いずれも金利の上昇に弱く今の相場はさえないが、過去のデータをみる限り、株式相場が大きく下がると逆に価格が上昇することが多かった。株式との相性はいい。

世界の株価が半値になったリーマン危機(2008年)のとき、金も債券も株式につれ安する場面があったが、いち早く底を入れて上昇に転じた。市場が波乱のときに1本でも逆行して上がるファンドを持っていると、「運用を頑張って続けよう」という心の支えとなってくれる。

ケース3 <本格的な安定運用に切り替えたい> 例えばこれまでの運用で目標の資産額に達し、もはや大きなリスクを負う必要はないという恵まれた人などが想定される。少額投資非課税口座(NISA)制度の開始早々からオルカンやS&P500連動投信の積立投資を始めた中高年世代などだ。

そんな人は運用をやめてすべて国債などの確定利付き商品にシフトするという選択肢もある。だが、それではリターンが物価の上昇率に追いつかず、資産価値を守れない。リスクを抑えながら運用を続けるのがお勧めだ。

安定運用の事例としてよく目にするのが年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産配分(グラフA)だ。過去10年の平均リターンは年率7.7%と想定以上に好調だったが、年度別にみるとマイナスになった年もあるなど成績のバラつきは大きい。株式の組み入れ比率が全体の50%と高めなのが理由だ。

グラフBは運用期間が10年に満たない人、あるいは損失許容度が低い人などを想定した北澤マネーラボ推奨の資産配分だ。株式の比率は30%だが、過去20年の市場データで計算すると、期待できるリターンはGPIF型と同程度で、リスクは低く抑えられる。詳しい説明は長くなるので省くが、何かの参考になれば幸いだ。

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