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よい投信とは何かを考え、伝えたい 「家計のための投資信託研究会」(仮称)が発足しました

2025.6.7

一般の家計にとって、投資信託は資産形成や資産運用をするときの中心的な手段となる重要な金融商品である。にもかかわらず、投信は多くの人にとって馴染みにくい金融商品でもある。本数が多すぎて、何が本当によい投信かを判断するのが難しいからだ。家計にとってよい投信とは何か、資産運用をもっと効率化してくれる投信はどれか――。そんなことを考え、情報発信していくことを目的とした研究会が発足した。メンバーはいずれも(私以外)、屈指の「投信オタク」との呼び声が高いプロのファンドアナリストだ。

投信の目論見書が「趣味」の人々

設立メンバーはイデア・ファンド・コンサルティング代表の吉井崇裕氏、Optimista代表の篠田尚子氏、QUICK資産運用研究所部長の石井輝尚氏、そして私の4人である。運用会社や販売会社などの金融機関には属さず、誰に遠慮することなく中立公正な立場で業界や金融商品の「よい、悪い」を主張できるのが参加の条件だ。

吉井氏は複数の投信評価会社などを経て投資助言業の会社を設立、独立した運用アドバイザーとして活躍している。篠田氏は今年4月に自身の事務所を設立したばかり。ロイター(現リフィニティブ)系の投信評価機関であるリッパーを経て楽天証券経済研究所に入り、メーンのファンドアナリストを長く務めた。石井氏は投信の分析・評価業務が長く、日経CNBCの番組などで投信の話題を提供している。

「投信の目論見書を読むのは趣味」だとか、「新規設定の投信はすべて交付目論見書を仔細にチェックする」というような面々で、個人的には話に付いていくのも大変そうな気がしている。

「よい投信」の情報は不足している

研究会を始めようと考えた動機は何か。メンバーに共通しているのは、一般の人々にとって本当に頼りになる投信とはどんなものかを考え、その結果を多くの人と共有したいという思いである。

現在、国内で売っている公募投信は約6000本。人々がこの中から自身に適した投信を探し出すのは容易ではない。初めて資産運用に取り組む人や何を買っていいのか迷っている人なら、金融機関の窓口で勧められるがまま、よくわからない投信を購入してしまうこともあるだろう。あるいは販売額のランキングなどを手掛かりに、「皆が買っているから間違いないだろう」と考えて、売れ筋のインデックス型投信に決める人も多そうだ。

その結果、期待したような運用の成果を得られなかったり、自身の許容度を超えた運用リスクを背負った挙句、下げ相場の損失で精神的なダメージを受けてしまったりすることもあり得る。そんな不幸が生じる一因が、「よい投信」に関する情報の不足だ。

切磋琢磨で評価の精度を上げたい

投信の評価は過去の一定期間にどれだけ基準価額が上昇したか、リターンを物差しにすることが多い。確かにリターンは最重要の指標だが、それだけで投信の実力は測れない。一例だが、リスクの大きさ、リターンとリスクのバランス、上げ相場への追随力、下げ相場での抵抗力、市場環境の変化への対応力、保有コストなどをみて、総合的に判断する必要がある。

ことほどさように、投信の実力を見極めるのは難しい。しかも判断材料となるのは過去のデータが中心で、実績をみて高い評価を下したファンドでも、その実力を将来にわたって維持、継続できるかどうかは見通しにくい。「よい投信」を選ぶのは評価者にとってもリスキーで、それが情報不足の一つの理由にもなっている。

研究会ではメンバーがどんな視点で投信を評価しているかを披瀝し合いつつ、家計の資産運用に役立つ投信について議論を深め、個別のファンド名まで落とし込んでいきたい。切磋琢磨によって投信評価の精度を上げていければうれしい。

それ以外にも投信を利用した資産運用法、その時々の市場環境に適したポートフォリオのあり方や投信の選択法、制度や業界動向などを含めた投信市場の課題などについても議論を深めていきたい。

第1回の会合を開いたばかりで正式名称はこれから決める。どんな形で成果をアウトプットしていくかも検討中だが、研究会が考える「よい投信」などができれば多くの人の目に触れて、家計の資産運用の効率化に少しでも役立てればと願っている。

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